労災保険特別加入・一人親方と中小事業主は違います!

労災保険は国が運営する社会保険制度になります。
業務中や通勤中のケガ・病気・死亡などが補償の対象となり、労働者やその遺族に対して保険給付が行われます。
本来は労災保険の対象は労働者に限られていますが、特別加入制度を利用することで、一人親方や事業主が労災保険に特別に加入することができます。
今回は、
【1】建設業の一人親方 労災特別加入
【2】中小事業主等 労災特別加入
この2つについて説明させていただきます。
加入者の範囲
【1】一人親方の範囲
・労働者を雇用していない方(労働者の雇用が年間100日未満の方)
・会社に雇用されずに仕事を請け負っている方
・建設業を営んでいる方
・事業主、役員、(事業主の)家族従事者のいずれかに該当する方
【2】中小事業主の範囲
・労働者を雇用している事業主であること
・ 雇用している労働者数が、以下の表の人数以であること
・労働者を雇用する日数が1年間に100日以上であること
・ 雇用している労働者と同じ業務に従事していること
特別加入の申請手続き方法
特別加入はさかのぼっての加入はできません。最短で、申請日の翌日からの加入が可能となります。
一人親方、中小事業主ともに自身で労働基準監督署に行って手続きすることはできません。
【1】一人親方の場合
特別加入団体を通して、所轄の都道府県労働局長に加入の申請を行います。
【2】中小事業主の場合
労働保険事務組合を通して、所轄の労働局長に加入の申請を行います。
あわせて、中小事業主の場合、雇っている労働者のために事業所の労災・雇用保険の成立も必要になります。
業務災害の補償の対象となる範囲
【1】一人親方の場合
・請負契約に直接必要な行為を行う場合
・請負工事現場における作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
・請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
・請負工事に関する機械や製品を運搬する作業(手工具類程度のものを携行して通勤する 場合を除く)およびこれに直接附帯する行為を行う場合
・突発事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合
【2】中小事業主の場合
・労働者の所定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入申請した事業のためにする行為およびこれに直接附帯する行為を行う場合(事業主の立場で行われる業務を除く)
・労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合
・上記に前後して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を中小事業主等のみで行う場合
・上記の就業時間内における事業場施設の利用中および事業場施設内で行動中の場合
・事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行われる業務を除く)のために出張する場合
・事業の運営に直接必要な運動競技会その他の行事について労働者(業務遂行性が認められる者)を伴って出席する場合
通勤災害の補償の対象となる範囲
【1】一人親方の場合
通勤災害については、一般の労働者の場合と同様に取り扱われます。
【2】中小事業主の場合
通勤災害については、一般の労働者の場合と同様に取り扱われます。
補償内容について
補償内容はこちらをご確認ください。
一人親方、中小事業主の補償内容は同様となります。
(参考資料:労災保険給付の概要 |厚生労働省 (mhlw.go.jp) )
まとめ
一人親方・中小事業主等の労災保険特別加入は、補償内容は同様となります。
大きな違いとしては、「労働者を年間100日以上雇っているか」ということになります。
→100日以上雇っていなければ一人親方
→100日以上雇っているのであれば中小事業主等
もし一人親方様が労働者を雇った場合、特別加入は中小事業主等への切り替えが必要になり、事業所の労災・雇用保険の成立もあわせて必要になります。
逆に、中小事業主様が労働者を雇わなくなった場合、特別加入は一人親方への切り替えが必要になります。その場合、成立済みの事業所の労災・雇用保険は廃止となります。
同じ労災保険特別加入ではありますが、一人親方と中小事業主等では特別加入の種類が異なります。正しく加入するようにしましょう。
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